SCJ Conference 2018 開催レポート〜A会場〜「アスリート・センタード・コーチング」
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- 2018年4月14日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年4月25日

「コーチが変われば環境が変わり環境が変われば選手が変わる。」
そもそもアスリート自身が競技を楽しみ、自分の欲求を満足させながらやっていかなければパフォーマンスは上がりません。アスリートの主体性を引き出すために指導者はどうあるべきなのかについて、当日はワークショップも交えながら考えました。
プロフィール
伊藤 雅充 氏
日本体育大学 児童スポーツ教育学部 准教授/国際コーチングエクセレンス評議会科学委員会委員/アジアコーチング科学協会副会長
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系を修了後、同大学にて博士号を取得。現在は日本体育大学児童スポーツ教育学部准教授として「コーチング学」をご専門に研究されています。スポーツバイオメカニクスを専門分野としていた中、海外で触れたスポーツコーチングに大きな影響を受け、コーチング学の研究に転向。選手を中心に置いた『アスリート・センタード・コーチング』を掲げ、教員・プロコーチなどを目指す人材の育成を行うほか、様々な現場への普及活動を通じ日本のコーチング学の発展に尽力していらっしゃいます。
――なぜアスリートを中心にやるべきなのか?
「アスリート・センタード・コーチング」とは、アスリートの学びに対する主体的な取り組みを支援するコーチングのことを言います。パフォーマンス向上のためには、アスリート自身が競技を楽しみ、主体的に取り組むことが必要です。
人間のモチベーションに関わる要素として、伊藤氏は以下の3要素を指摘します。
・有能感:なにかを出来て嬉しいと思うこと
・自律感:自分で決めて自分で動くことができていること
・関係性:他者と良好な関係を築き、自分の居場所を作ること
この3要素が満たすことができれば、アスリートは主体的に競技に取り組むことができるのです。

よく日本の指導は「型」を教えることが多く、結果的に一つ一つのテクニックは上手だが、実際の試合ではそれらが活きていないと指摘されることがあります。またコーチが良かれと思って「教え込んで」いたことが、結果的にアスリートの創造力を奪ってしまうこともあると伊藤氏は指摘します。
――コーチが変われば選手は変わる
こうした現状を解決するために、現場では、ゲームを中心にした練習など、アスリートが自ら意思決定するプログラムが取り入れられようとしています。ただ実際は、コーチたちがそうした練習の組み立て方がわからず、うまくいかないことも多いようです。
どうすればこうした練習にしていけるのか?

「選手が思うように動かない」と嘆くのではなく、まずはコーチ自身が自分のあり方を考える。コーチが変われば環境が変わり、環境が変われば選手たちもそれに適応して変わっていくのです。
講演を終えて
参加者の中には現場で実際に指導に当たっている人も多く、ワークショップでは、相互に自らの経験を踏まえた意見交換が行われました。
アスリートの成長を願うのであれば、まずは自分自身が成長しなければならない。参加者ひとりひとりが、自分達が目指すべきコーチングのあり方について考える貴重な機会になったのではないでしょうか。

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