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SCJ Conference 2018 開催レポート~C会場~「トップスポーツにおけるデータ活用」



トップアスリートでも周囲の状況や先入観からの影響を受けて簡単に判断を間違い、ミスを犯してしまう。情報の「収集」「分析」を通して、結果をデータという形に「見える化」してプレイヤーに適切な情報を「伝達」するアナリストとしての仕事の意義や、実際にデータ分析が日本代表選手の勝利を導いた事例についてお話頂いた。


プロフィール

千葉 洋平氏(日本スポーツアナリスト協会理事/フェンシング男子日本代表アナリスト)

フェンシングを中心にスポーツアナリストとして活動。 フェンシングにおけるゲーム分析手法を開発し1年に500試合以上の分析を実施。

また、一般社団法人日本スポーツアナリスト協会理事としスポーツアナリストやスポーツアナリティクスの普及啓蒙活動にも携わっている。



――データにして見える化し、思い込みに気づかせる


見えないと思い込みには気付けません。我々アナリストはデータにして「見える化」しようと努力します。適切な情報が適切な形で提供できればミスは減らせます。要するに、思い込みに気付くことができたり、選手がやろうとしていることが本当に正しかったのかということを正当に評価することができるのがアナリストだと思っています。


ただ単に、言われたことをやるのか、それともしっかり定点を持ってちゃんと目標達成のためにマイルストーンを踏めているのか、そして検証できているのか、考えて練習しないと練習の見返りはないと思っています。


思い込みをどうやって外していくか。情報を使う上で我々が気をつけているのは、「プレーの原因を特定する証拠を作る」、「先入観・こだわり・思い込みの発見をする」、「予測やシミュレーションを行う」ということです。また、意思決定者であるプレーをする選手に適切な情報が伝わっていることがとても大事なことの一つです。


スポーツと情報分析を行う上で、我々がやらなければいけない3つのタスクは、情報を「収集」すること、情報を「分析」すること、そして情報を理解しやくすく「提供」することなのです。


――アスリートの経験・データ・映像は補完し合う関係


アスリートの「経験」というのも、とても尊くて大切なものです。僕らアナリストでは把握しきれないものをアスリートの人たちは持っています。感覚だけでも思うことを伝えることはとても大切です。それとデータ・映像という3つはそれぞれ欠落するものがある中で補完し合う関係だと思っています。この3つはとても大切だと思っているので、各選手とコーチでその場を設えるようにしている。


スポーツは未知の局面に溢れていて、データを使ったってなかなか勝てない。でも勝ちを拾うためにはどうやってそういうプレーが生まれたのか、「なぜ?」の部分を徹底的に考えていかないといけません。


「なぜ?」の部分が分からないと未知の局面に対応することは出来ません。選手たちと一緒にデータを使って「なぜ?」を考えることをしています。答えを選手たち自身が考えて答えを見つけていくサイクルが大切だと考えています。



講演を終えて


千葉さんは、まさに最新の技術と自身の知識をもってアスリート・指導者の方々を「支えている」方でした。今回話していただいた内容は、指導者・プレイヤーにとっては戦略や指導法を考える新たな刺激を受けた内容であり、そうでない方にとってはスポーツを楽しむ新たな見方を発見できたのではないかと思います。スポーツの世界の中でもデータの価値が高まる中、スポーツアナリストの千葉さんによる具体事例を交えた本分科会は、データからスポーツを覗いていく点が特に興味深く、気づかされる点の多いセッションでした。



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